2023年07月21日
東北大、光スイッチ型蛍光タンパク質の反応可視化
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学 多元物質科学研究所の南後恵理子教授らの研究グループは21日、300フェムト秒(1フェムト秒は1,000兆分の1秒)からマイクロ秒(1マイクロ秒は100万分の1秒)という極めて短い時間における光スイッチ型蛍光タンパク質rsEGFP2の原子の動きの観察に成功し、発色団の分子構造がねじれながら変化することを見出したと発表した。

 光スイッチ型蛍光タンパク質は、特定の光が当たると蛍光のオンオフが切り替わる。
 この蛍光タンパク質には、光を受容する発色団と呼ばれる構造があり、蛍光のオンオフの切り替えは発色団の構造変化と連動して起こる。だが、発色団は光が当たると即座に構造が変わるため、動きを捉えることが困難で、スイッチング機構の詳細も不明だった。
 
 光スイッチ型蛍光タンパク質の構造変化を視覚的に捉えたことで、30 年以上前に提唱されたにもかかわらず、詳細なメカニズムが不明だったhula twist機構を立証することができた。今後、蛍光タンパク質を利用した超解像顕微鏡による観察技術の促進につながることが期待される。

 同研究成果は米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」(7月7日付)にオンライン掲載された。

<用語の解説>
◆サブピコ秒とは :1兆分の1秒よりも短い時間。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20230721_02web_subpico.pdf