2023年07月25日
北大など「マウスも夢を見ながら記憶する?」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学理学部の常松友美講師らの研究グループは25日、マウスを用いた実験で、脳幹脳波であるP波と、記憶固定化に重要な海馬脳波との関係を検討し、ノンレム睡眠とレム睡眠で逆の働きをしていることを明らかにしたと発表した。

 P波は1950年代以降にネコやラットで発見されたが、半世紀以上もの間、マウスには存在しないと考えられてきており、近年研究が滞っていた。
 
 だが研究グループは2020年に世界で初めてマウスのP波の記録に成功した。
 今回、新たにP波と海馬脳波との関連を検討したところ、ノンレム睡眠とレム睡眠で逆の働きをしていることが分かった。レム睡眠P波は海馬脳波と協調して作用していたが、ノンレム睡眠P波は海馬脳波を抑制していた。同じP波でありながら、ノンレム睡眠とレム睡眠では、記憶固定化で相反する役割を担っている可能性を明らかにした。これは、アカゲザルでも観測されている。
なお、同研究成果は、2023年7月21日公開の「SLEEP」誌にオンライン掲載された。

◆ P波 とは:主にレム睡眠時に脳幹の橋(Pontine)で発生するスパイク状の波形。ネコの場合は、脳幹から視床の外側膝状体、大脳皮質の後頭葉へと脳波が伝わるため、PGO 波とも呼ばれる。

(詳細)
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230725_pr.pdf