2023年07月27日
北大、高速な細胞内分子クラウディング測定に成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学理学部の北村朗講師らの研究グループは26日、単量体緑色蛍光タンパク質(eGFP)の蛍光寿命測定を用いて、高浸透圧ストレス下における細胞内分子クラウディング状態変化のリアルタイム測定に成功したと発表した。スウェーデン・カロリンスカ研究所との国際共同研究による成果。

 細胞が高塩濃度などの環境にさらされると、細胞内の水分子が細胞外へ漏出し、細胞内のタンパク質など生体分子濃度が高くなる。このような状態は分子クラウディング(分子こみあい)の上昇と言われ、特に細胞内のようにもともと分子クラウディング度が高い分子が高密度に存在する空間では様々な細胞内容物の構造や集積状態の変化を産み出すことが知られている。

 今回研究では、生きた細胞内でeGFPの蛍光寿命を、カロリンスカ研究所開発の蛍光寿命イメージング装置を用いて二次元空間的に測定し、高浸透圧ストレス下における細胞内分子クラウディング度がストレス直後に最大となり、その後下降するもののストレス前の状態には戻らず安定状態になることを示した。また、この分子クラウディング状態の応答変化は、従来型のクラウディング蛍光センサーよりも高速に検出できることも分かった。
同研究成果は7月22日公開の「Scientific Reports」誌にオンライン掲載された。

<用語の解説>
◆ eGFP とは : オワンクラゲの野生型 GFP に対し 64 番目のフェニルアラニンがロイシンに、かつ 65 番
目のセリンがスレオニンに変異を導入したもの。

(詳細)
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230726_pr.pdf