2023年08月03日
東北大、老化対策にミトコンドリアの有効性確認
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 高齢化社会にとって神経や骨格筋の老化は心身の働きを弱めフレイル(老衰)にもつながるため、深刻な問題となる。また老化においては、様々な組織・器官におけるミトコンドリアの働きやその量が低下することも知られている。

 東北大学 大学院生命科学研究科の東谷篤志教授らの研究グループは2日、同大学院の阿部高明教授らが開発したミトコンドリア病治療候補薬(MA-5)が老化に伴う活動性の低下を予防・改善に有効かどうかを、モデル生物(線虫)を用いて調べた。

 その結果、線虫の加齢に伴う運動性ならびに神経反射応答性の低下が抑えられることを確認した。老化した線虫を細胞レベルで解析したところ、運動に不可欠な体壁筋細胞内のミトコンドリアの断片化と消失、それを惹起するミトコンドリアCa2+の過剰蓄積、頭部の感覚神経では樹状突起にみられる損傷の進行がいずれも少量のMA-5の投与を続けることで緩和された。
 
 本成果により、MA-5の投与によるフレイル発症の予防・改善につながることが期待できる。
本成果は、加齢研究の専門誌「npj Aging」(8月1日付)に掲載された。

(詳細)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20230802_01web_ma5.pdf