2023年08月15日
金工大、植物の根の働き、宇宙実験で追求
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

 植物にとって、風などで横倒しにされた状態が続くのは好ましい状況ではない。そのため、植物は速やかに自分の状態を検知し、反応することが知られている。つまり、植物は重力の向きを検知できる仕組みを持っているということになる。

 では、重力の向きを感知できない宇宙に持って行った場合、植物はどう反応するのか? 
 金沢工業大学応用バイオ学科の辰巳仁史教授を中心とした共同研究チームは15日、植物「シロイヌナズナ」の場合、近くの物に根を絡ませていることが分かったと発表した。2014年からJAXAを利用し、国際宇宙ステーション(ISS)で実験してきた結果の一部を発表した。研究チームには羽衣国際大学、名古屋大学、JAXAの研究者らも参加した。
 
 実験に使用したシロイヌナズナは、いわゆる「ぺんぺん草」の仲間で、雑草の1種だが、小さいため育てるのに場所をとらない。またゲノム解析を終了しており、遺伝子の働きやタンパク質などについて全植物中で最も詳しく調べられているなどから、科学界では“偉大な存在”となっており、数多くの実験に用いられてきたという。
遺伝学的な研究でもメリットの多い植物として知られており、辰巳教授らは今後さらに詳しく調べていく方針だ。