2023年08月17日
京大など、ソバゲノムの高精度解読に成功
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 京都大学大学院 農学研究科の安井康夫助教らの国際研究グループはこのほど、孤児作物の一つであるソバのゲノム配列を染色体レベルで高精度に解読することにより、ソバのゲノムの進化と栽培ソバの起原を解き明かすことに成功したと発表した。

 2050年の世界人口は97億と予想され、イネ、コムギ、トウモロコシなどの三大穀物への食料の依存が問題視されている。これに対し、食料としての価値が高いにもかかわらず研究が遅れ、未開発のポテンシャルが秘められたままの「孤児作物」への関心が増している。
 
 次世代シーケンシング技術による孤児作物のゲノム解読は、その効率的な育種を促進し、飢餓の撲滅や栄養改善などの SDGs 達成への重要なステップとなると期待されている。

 研究グループはさらに、予測された遺伝子をゲノム編集技術に依存しない手法で改変した。その結果、これまで世界に存在しなかったモチ性ソバを開発することに成功した。またソバの繁殖様式を他殖性から自殖性へ転換させることにより、新たな自殖性ソバの開発にも成功した。これらの育種方法は、ゲノム編集技術に未対応な多種多様な孤児作物の改良に貢献すると期待される。
本成果は2023年8月10日に英国の国際学術誌「Nature Plants」にオンライン掲載された。

<用語の解説>
◆孤児作物(Orphan Crop)とは:ある地域で重要であるが品種や栽培の改善が進んでいない作物をいう。 世界各地で食用として生産されているイモ類や雑穀がそれに当たる。