2023年08月17日
北大、触媒表面に吸着した分子の動きを可視化
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学 触媒科学研究所の高草木達教授らの研究グループは17日、触媒表面に吸着した反応分子がどのように表面上を拡散し、活性サイトに到達して生成物に変換されるのかを原子レベルで可視化することに成功したと発表した。

 触媒はカーボンニュートラルを実現する上で重要で、SDGsへの高い貢献が期待されている。しかし触媒反応は複雑で、特に、吸着した反応分子(中間体吸着種)がどのように表面を拡散して活性サイトに到達し、分子変換が行われるのかは、多くが不明だった。
 
 研究グループはこれらを解明するために、TiO2(110)表面にPtナノ粒子を担持した触媒上でのメタノール分解反応に注目し、すべての素過程(メタノールの吸着、拡散、分解)の追跡を試みた。
 
 その結果、メタノールはPt上で解離吸着後、メトキシ中間体としてTiO2表面へと移動し、特定の方向に沿って拡散することを見出した。また、温度を上げると、PtとTiO2の界面に到達したメトキシ中間体はCH4に分解され、その他のPtサイトではCOに分解されるとともに、これらの生成比はPtナノ粒子密度に依存することを発見した。
 
これによりメトキシ中間体の拡散がメタノール分解特性に影響を与え、触媒性能の制御因子となることを明確に示した。

同研究成果は米国化学誌「Journal of the American Chemical Society」(8月16日付)誌に掲載された。

(詳細)
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230817_pr3.pdf