2023年08月28日
北大、機械で砂糖と塩を見分ける「眼」を開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学 化学反応創成研究拠点の猪熊泰英教授らの研究グループは、機械学習を使って固体混合物の写真から混合比率を予測するシステムを開発したと発表した。熟練した研究者の「眼」に代わる化合物の分析手段として応用が期待される。

 化学研究分野の重要な発見の多くは、研究者の鋭い観察眼によってもたらされる。今回研究では、長年の経験をもって培われる熟練研究者の観察眼を、機械学習によって再現し、初心者にも共有可能な予測システムを構築しようと行われた。

 研究グループは、最も身近にある混同しやすい固体化合物として、砂糖と塩の混合物の分析を行った。混合物の写真300枚とそれぞれの混合比率を用意して機械学習モデルを作成したところ、人間の観察眼を上回る平均誤差約4%で混合比予測に成功した。
 
 同様のシステムを用いることで、専門的な分析装置を用いても判別が難しい結晶多形の比率や鏡像体過剰率、固体反応の収率予測も高精度で行うことができた。スマートフォンのような携帯端末のカメラの画像でも適用可能だ。

なお、本研究成果は「Industrial & Engineering Chemistry Research」誌(8月23日付)にオンライン掲載された。