2023年09月01日
理研、極限原子核の謎を解く新たな酸素同位体発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

 東京工業大学、理化学研究所、九州大学などの国際共同研究チームは31日、二重魔法数核の候補と考えられてきた酸素同位体、酸素28の観測に初めて成功したと発表した。

 原子核を構成する陽子や中性子の個数が魔法数(2、8、20、28、50、82、126)となっている場合、その原子核はより安定な性質を示す。特に陽子数・中性子数ともに魔法数となっている原子核は二重魔法数核と呼ばれ、安定的な特徴が顕著に現れる。
 
 二重魔法数核は原子核構造の理解に重要である一方、非常に稀でもある。
 現代の加速器技術で到達できる最後の二重魔法数核候補、酸素28(陽子数8、中性子数20)は、長年観測することができなかったが、4個の中性子の同時測定という画期的な技術の進展により、今回ついに観測した。
 実験の結果、酸素28では本来現れるべき中性子の魔法数20の特徴が消失し、魔法数異常が起こっていることが明らかとなった。

 本研究は今後、宇宙での元素合成過程や高密度天体「中性子星」の構造の解明にもつながることが期待される。同研究成果は、イギリスの学術雑誌「Nature」(8月31日付)に掲載された。

(詳細)
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/54258/23_0831_01.pdf