2023年09月04日
三洋化成、再生PET樹脂含有トナーバインダー開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三洋化成

 三洋化成工業は4日、使用済の PET (ポリエチレンテレフタレート)樹脂を利用した 環境対応型 トナーバインダーを開発したと発表した。

 レーザープリンターや複写機に使われるトナー は 、構成成分の約8~9割をトナーバインダー が占めている。トナーバインダーは、 トナーの紙への定着性の付与だけでなく、帯電性、保存性、耐久性や顔料・ワックスなどの添加剤の分散性付与など、さまざまな役割を担っている。

 プリント品質の高精細化、高画質化に伴い、トナーには高性能化が求められてきたが、近年は省エネのために低温定着性yさ、環境対応が求められている。 このような背景から同社は、高いトナー性能を維持させながら環境負荷低減に貢献するトナーバインダーとして、リサイクル PET 樹脂を50%以上含有する トナーバインダーを開発した。

 通常、低温定着性に優れるトナーには トナーバインダーとして ポリエステル樹脂が使用されている。そのポリエステル樹脂としは、分子がランダムに配置した状態( 非晶性 )の 数千~数万程度の 分子量 ものが主流だ。一方、リサイクル PET 樹脂は分子が規則正しく整列した状態(結晶性)で、分子量が 数十万~数百万以上の超高分子量体です。このように 両者の特性は大きく異なるため、リサイクル PET 樹脂 をトナーバインダーに組み込むには、適した特性に変換する必要があった。

 当社は今回、長年の知見を生かして、高いトナー性能を維持したまま、リサイクルPET 樹脂を 50%以上含有させることに成功した。引き続きリサイクルプラスチックやバイオマス原料をトナーバインダーの原料に転換するなど、環境対応に向けた技術開発を進めていく方針だ。

ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1693793112.pdf