2023年09月19日

小惑星リュウグウから始原的な「塩と硫黄分子群」発見

【カテゴリー】：行政/団体 【関連企業・団体】：産業技術総合研究所

海洋研究開発機構（JAMSTEC）、産総研、九州大学、北海道大学などの研究グループは19日、小惑星リュウグウのサンプルを化学分析した結果、始原的な「塩（Salt）」と、有機硫黄分子群が見つかったと発表した。その組成や含有量などを明らかにした。 　小惑星リュウグウは、地球が誕生する以前の太陽系全体の化学組成を保持する始原的な天体の一つで、これまで「はやぶさ2」による初期分析によって、多様な性状や含有物、履歴などが明らかにされてきた。だが可溶性成分のうちイオン性成分の物質情報は、不明のままだった。 　今回、研究グループは、小惑星リュウグウのサンプルから可溶性成分を抽出し、無機・有機分子レベルの精密な化学分析を行った。その結果、最も溶解しやすい成分を反映する熱水抽出物には、非常に多くのナトリウムイオン（Na+）を含んでいることがわかった。 　 　ナトリウムイオンは、鉱物や有機物の表面電荷を安定化させる電解質として働き、一部は、有機分子などと結合することでナトリウム塩（Salt）として析出していると考えられる。また、抽出物からは様々な有機硫黄分子も発見された。 　今回成果は、地球が誕生する以前の太陽系において物質はどのように存在していたのか、また、地球や海、そして生命を構成する物質の起源や進化を探求していく上で重要な知見となる。 本成果は、2023年9月18日付科学誌「Nature Communications」に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230919_pr.pdf