2023年09月26日
京大、細胞の中のものを「押す」方法を開発
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 京都大学 白眉センター・大学院工学研究科の中村秀樹特定准教授らは26日、生きた細胞内部の構造体に力をかけて「押す」ツール「ActuAtor(アクチュエーター)」を開発したと発表した。
 
 細胞が外からの力に応答することは知られていたが、細胞の中で働く力の役割は分かっていなかった。特に、従来の技術は細胞表面に力をかけることはできても、細胞内部の標的には適用できないという問題があり、生きた細胞内部の標的に力をかける技術が求められていた。
 
 中村准教授らのグループは、細胞に侵入し細胞内の力発生装置に「押してもらう」ことで動き回るバクテリアをヒントにActuAtorを開発した。細胞内の力発生装置であるアクチンに標的を「押してもらう」ことで働く。力をかける場所やタイミングは、薬剤や光で自由に操作できる。
 
 本研究では、ActuAtorが細胞内部の様々な構造体を変形・運動させることを示し、ミトコンドリアの形態そのものはその機能に大きく影響しないことを明らかにした。本成果は、細胞内の動的構造体の機能解明や、神経変性疾患の理解・治療につながると期待される。
 同成果は2023年9月20日に米国の国際学術誌「Cell Reports」にオンライン掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.t.kyoto-u.ac.jp/ja/research/topics/20230921