2023年10月05日
北大、狩猟に対するエゾシカの行動変化検証
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院 地球環境科学研究院の小泉逸郎准教授らの研究チームは4日、エゾシカが柔軟な行動変化によって狩猟圧に対応していることを解明したと発表した。エゾシカが狩猟圧に対してどのように応答しているのかを検証した。これによって従来のシカ類の管理法が不十分であり、より効率的な管理手法の開発が必要であることが示された。

 このところ農地の開発や天敵の減少によって、世界的にシカ類の数が増え、農作物被害が社会問題化している。先進国では狩猟者の減少や高齢化などから、銃器による管理も十分な成果を挙げていないのが現状。このため、効率的な捕獲を行う上で、シカ類が狩猟に対してどのような応答をするのか知る必要があった。

 研究チームは、北海道内の4地域で、狩猟期と非狩猟期のエゾシカの対狩猟行動(生息地移動、夜行性化、逃避行動)を調べた。その結果、特に夜行性化と生息地移動が顕著であることが明らかとなった。
 
 シカの狩猟はふだんは日中に行われるため、シカは夜に活動すれば狩猟圧を避けられる。また狩猟が行われていない安全な避難場所への移動もシカにとっては有効となる。このためこれらの性向を逆手にとって、夜間の捕獲、あるいは狩猟区への追い出しなどが効果的になると考えられる。
 これらの研究成果は9月19日公開の「Journal of Wildlife Management」誌にオンライン掲載された。

(詳細)
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/231004_pr.pdf