2023年10月23日
産総研、ギ酸からフロー式発電システム開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所

 産業技術総合研究所触媒化学融合研究センターはこのほど、フロー式によるギ酸からの発電システムを開発したと発表した。フロー式によって連続してギ酸から水素に高効率で変換する技術を開発した。

 将来のエネルギー問題を改善するために、水素供給源の一つとしてギ酸が期待されている。ギ酸はバイオマスや二酸化炭素などからも得られ、主に家畜飼料の添加剤などに使われる。ギ酸から水素を製造する技術を社会実装するためには多くの課題があり、国内でも実証例は少ない。
 
 研究チームは今回、ギ酸から水素をつくる触媒を見直し、ポリエチレンイミンをイリジウム錯体触媒と未配位のビピリジンで架橋した固定化触媒を設計・合成し、フロー式による連続水素製造プロセスを開発した。得られた水素を用いて、燃料電池による発電試験を行い、安定した電力が得られることを実証した。

これらの成果は、ギ酸を水素キャリアとするエネルギー技術を社会実装するための技術として期待されると同時に、ギ酸から得られる水素を発電以外の用途へ展開することも期待される。

同技術の詳細は、2023年10月14日に「ChemSusChem」に掲載された。