2023年10月25日
理研、睡眠制御における転写後プロセス解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

 理化学研究所、大阪大学、クイーンズランド工科大学の共同研究グループは25日、体内時計遺伝子のmRNA(メッセンジャーRNA)の中に、タンパク質合成を制御し睡眠覚醒サイクルに影響を与えるリボソーム結合配列を発見したと発表した。

 睡眠異常とそれに関連する遺伝子変異の同定と検証を進める上で重要な知見となる。

 私たちの体内に備わっている体内時計は、日常の活動を制御し健康を維持する上で重要な役割を担っている。体内時計遺伝子は転写ネットワークを構成し、互いに抑制したり活性化したりすることで、概日周期と呼ばれる約24時間の発現周期を刻んでいる。
 この体内時計遺伝子は、mRNAとその翻訳産物であるタンパク質の発現のピークに時間差があることは分かっているが、この時間差を生み出す仕組みなどはこれまで不明だった。

 国際共同研究グループは、タンパク質翻訳装置であるリボソームが約24時間周期でリズミカルにmRNAに結合し、mRNAの翻訳を時間的に制御していることを明らかにした。この結合配列を変異させたマウスは睡眠時間が減少したことから、転写後プロセスが体内時計および睡眠制御に極めて重要であることが示された。

本研究は、科学雑誌「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」オンライン版(9月28日付)に掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.riken.jp/press/2023/20231025_2/index.html