2023年10月26日
北大が調査「鳥の目ヂカラは相手次第」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院 理学研究院の相馬雅代准教授らの研究グループは26日、文鳥の目元が、つがい相手と関係をはぐくむタイミングで、徐々に派手になっていくことを発見したと発表した。

 文鳥の目は、羽の生えていない環状の濃ピンク色の皮膚に囲まれており、この部分は「アイリング」または眼瞼輪(がんけんりん)と呼ばれている。文鳥などの鳥は、アイリングなどの「装飾」によって目を際立たせる外見的特徴を持っているが、それがどのような機能を担っているかなどは未解明だった。また、文鳥のアイリングが身体コンディションを反映して変化している可能性は推測されてきたが、実証的検討はなかった。

 研究グループは、文鳥を、好みの異性個体と一緒にしてつがい形成させるか、好みでない相手と一緒にしておくかで、アイリングがどう変化するか観察した。その結果、文鳥は、つがいを形成した時にだけ、およそ2~3カ月かけてアイリングを少しずつ肥大させていることが分かった。好みでない相手と一緒にいた場合や、一羽でいた場合にはこのような変化はおこらなかった。また、オスとメスとで比較すると、オスの方が、アイリングがやや太いものの、変化の仕方に差はなかった。

 文鳥は、つがいが長期にわたって添い遂げるという特徴を持っている。また野生の文鳥には、繁殖にシーズンはなく、ほぼ年間を通じて繁殖する。このような特徴から、つがいとなったオスとメスとの間で、繁殖可能であることを相手に伝える信号として、アイリングが進化してきた可能性がある。

 鳥の色彩豊かな外見上の特徴の多くが、配偶相手を選ぶ際の手がかりとして有効であることは、過去の多くの研究で示されてきた。今回の研究では、配偶相手選択後に、派手さが増すことが観察され、鳥の顔が伝える情報の多様性の新たな一面を明らかにできた。
同研究成果は、2023年10月25日、「PLOS ONE」誌に掲載された。

(詳細)
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/231026_pr.pdf