2023年10月30日
九大・開発「どこでも無線で電力伝送可能」
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:九州大学

 九州大学大学院システム情報科学研究院はこのほど、「どこでもいつでも無線で電力伝送可能な技術」を開発したと発表した。新たなメタサーフェスを開発し、無線電力伝送技術を確立した。

 スマートフォンや医療機器などの小型デバイスの普及に伴い、充電の方法も有線から無線へと移行している。こうしたシステムでは、無線電力伝送が不可欠だが、WPT システムを小型化することで電力伝送効率が低下し、遠距離での電力伝送に制約が生じていた。また、用受信機と送信機の位置のずれにより、電力伝送が妨げられる問題もあった。

 研究チームは今回、新たなメタサーフェスを開発した。小型化されたWPT システムに導入することで、元の伝送効率を維持しながら、最大300%まで伝送距離を向上させることに成功した。
 
 メタサーフェスを導入する前の40mm の伝送距離での伝送効率が8%だったものが、メタサーフェスを応用することで78%まで向上した。さらに、受信機と送信機の位置ずれによるミスアラインメントの問題も、新開発したメタサーフェスの応用により大幅改善された。このような新たなWPTシステムの性能向上は、この分野では画期的な成果といえる。
 本研究成果は米国雑誌「IEEE Transactions on Instrumentation and Measurement」(23年10月17日付)に掲載された。
 
<用語の解説> 
▽メタサーフェス:負や零と近い透磁率を有する人工誘電体のことをいう。
▽ミスアラインメント:ミスアラインメントとは、送信側と受信側のコイルやアンテナが完全に一致していない場合や、位置がずれている場合を指す。このミスアラインメントが生じると、伝送効率の低下、熱の問題、通信の中断が送る可能性がある。

ニュースリリース参照
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/997