2023年11月20日
東工大、超高速、高安定性のイオン伝導機構解明
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東京工業大学

 東京工業大学 理学院の八島正知教授らの研究グループは17日、中低温域で高い酸化物イオン伝導度と高いプロトン伝導度、高い安定性を示す、バリウム、ニオブ、モリブデンおよび酸素で構成される新しい酸化物として Ba7Nb3.8Mo1.2 O-20.1 を創成したと発表した。
 
 この酸化物イオン伝導度は、実用材料のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)より、306℃で175倍高く、357℃以下で酸化ビスマス固溶体より高いという結果が得られた。また、湿潤空気中の伝導度(酸化物イオン伝導度とプロトン伝導度の合計)は従来材料(Ba7Nb4MoO20)の13倍であった。

 この新しいイオン伝導機構の解明により、今後さらなる新材料の発見が促進されると考えられる。また、希土類や鉛を含まず、焼結温度が1,100~1,200℃と低く、環境負荷、資源、安全、安定性の上でも優れた、この超高速イオン伝導体の発見は、低コスト高性能燃料電池など電気化学デバイスの開発につながると期待される。
本研究成果は米国化学会の学術誌「Chemistry of Materials」(11月14日付)に掲載された。

(詳細)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20231117_03web_ion.pdf