2023年12月06日
旭化成、水素電解用膜でカナダ社に出資参画
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【関連企業・団体】:旭化成

 旭化成は6日、アニオン交換型の水電解装置用の膜(Anion-Exchange Membranes=AEM)を開発するカナダIonomr Innovations Inc.(アイオノマーイノベーションズ、本社:カナダ・バンクーバー市)への出資参画を決めたと発表した。
 同出資を通じて、Ionomr社とは研究開発面でのコラボレーションを進め、AEMに関する知見を蓄えるとともに、旭化成が保有する知見・技術を活用して、Ionomr社の膜の性能向上も支援する。

 旭化成は2010年からアルカリ水電解による水素の製造技術の開発に着手し、これまでに国内外で多くの実証を重ねてきた。

 2020年にはNEDO事業で建設された福島県浪江町の福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)において、10MW級大型アルカリ水電解システムを設置し、稼働を続けている。

 2023年11月にはマレーシアにおける60MW級アルカリ水電解システムの建設を含む水素製造プラントの基本設計に関する覚書をマレーシアPetroliam Nasional Bhd(Petronas)の100%子会社であるGentari社、日揮HD社と締結、2025年の事業化に向けて、開発・実証活動を加速させている。

 Ionomr社は2018年創業のカナダのスタートアップ。水電解にはアルカリ水電解型を含め、いくつかの方式があるが、Ionomr社が手掛けるアニオン交換型は再生可能エネルギーを利用する際に特に求められる負荷変動対応で優れている。また希少金属を使わないことからコスト面でのポテンシャルも期待されている。