2023年12月08日
東北大、リュウグウの岩石が隕石より黒い理由
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学理学部の中村智樹教授らの研究グループは7日、小惑星探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウから回収した試料について、反射スペクトルの測定結果などを発表した。

 リュウグウ試料、リュウグウと同種の小惑星から飛来した隕石、および隕石を実験的に加熱した試料を比較し、隕石が地球大気の水や酸素と反応したことで、その反射スペクトルが宇宙にあった状態よりも明るく変化したことを示した。

 リュウグウの岩石試料(リュウグウ試料)は、リュウグウと同種の小惑星から地球に飛来した始原的な隕石よりも圧倒的に黒いことがわかっていた。この原因を探るため、今回隕石を加熱・還元する実験を行い、隕石が地球大気に含まれる水や酸素と反応したことで宇宙にあった状態から反射スペクトルが大きく変化し明るくなったことを示した。

今後、隕石の地球上での変質による反射スペクトルの変化を考慮することで、観測による小惑星構成物質の特定の精度を上げることができる。
同研究成果は2023年12月7日に米国科学振興協会(AAAS)学術誌Science Advancesに掲載された。

<用語の解説>
◆小惑星リュウグウ :太陽から遠い低温領域で形成された天体に由来を持ち、含水鉱物や有機物を含む小惑星。直径900メートルで大気を持たない。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/12/press20231207-03-ryugu.html