2023年12月13日
旭化成、有機溶媒を非加熱脱水 新技術開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:旭化成

 旭化成は13日、医薬品原薬等を含む有機溶媒を、非加熱・非加圧で脱水する独自の脱水膜システムを開発し、医薬品製造プロセスに適用するため、小野薬品工業と共同評価を開始したと発表した。

 医薬品製造プロセスには医薬品原薬やその中間体を含む有機溶媒を脱水し、溶媒中の水分量を管理する必要がある。だが、従来の減圧蒸留法は加熱を必要とするため、熱に弱い医薬品中間体の場合は品質が低下する、所要時間が長くなる、エネルギー消費量が大きい、などの課題があった。

 旭化成は今回、独自の中空糸膜技術を生かして脱水膜システムを開発した。有機溶媒テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、メタノール等にも使用できる。非加熱・非加圧の状態で、熱に弱い医薬品中間体等の品質低下を抑制して有機溶媒から脱水できる。また、新たに開発した脱水に適した構造を持つ中空糸膜により、医薬品中間体等の膜透過による収率低下の抑制が可能となる。従来技術である減圧蒸留法に比べて、所要時間の短縮やエネルギー消費量の大幅低下が期待できる。

 現在、小野薬品にはラボ評価用テスト機を貸し出し、評価を実施中。新たな脱水技術の構築をめざしている。旭化成は同システムの特長を生かしたさらなる適用場面を見出し、2027年の販売開始を目指す。
 
ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1702442140.html