2023年12月15日
北大、マウスは進化の過程で遺伝子治療薬 獲得
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学薬学研究院の中川真一教授と摂南大学の芳本玲講師らの研究グループは14日、発見以来40年以上、機能が不明だったマウスのRNA(4.5SH RNA)の、新たな役割を発見したと発表した。

 マウスのゲノムDNAには正常なmRNAを作る上で不具合となり得る配列が多数存在している。それらがmRNAに取り込まれると致死性の遺伝病の原因となるが、4.5SH RNAにはそれらを一括して無毒化する、解毒剤のような働きがあった。つまり、マウスは進化の過程で、いわば天然の遺伝子治療薬を獲得していたことになる。

 更に、4.5SH RNAは二つのモジュールから構成されていることも分かった。一つは異常な配列を見つけるためのセンサーの役割、もう一つは異常な配列がmRNAに取り込まれないようにするためのツールを連れてくる役割を果たしていた。
 
 この発見は、このセンサー部分を変更することにより、特定の遺伝子変異のみを認識する新としい遺伝子治療薬を開発できる可能性を示唆している。これが実現すれば、遺伝病を引き起こす変異を長期的に無毒化する新しい遺伝子治療の道が開かれる可能性がある。
なお、本研究成果は、2023年12月14日公開の「Molecular Cell」誌に掲載された。

(詳細)
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/231214_pr.pdf