2024年01月15日
九大など「見た目そっくり」擬複合糖質を開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:九州大学

 九州大学薬学研究院の平井剛教授を中心とする、摂南大学、大阪大学、理化学研究所などの研究グループは12日、「見た目はそっくりだが、中身は違う(C-グリコシド型)擬複合糖質」を開発したと発表した。

 天然型糖鎖・複合糖質の構造をわずかに改変したアナログ分分子(擬糖鎖・擬複合糖質)の開発は、創薬研究において極めて重要だが、合成の煩雑さなどの理由から、限られた検討にとどまっていた。

 九州大学大学院薬学研究院の平井剛教授らの研究グループは12日、糖加水分解酵素により分解されないC-グリコシド型複合糖質の新規多様化戦略を考案し、光エネルギーと触媒反応を駆使して効率的な分岐合成法を開発したと発表した。
 
 本手法では3 種の連結部位(CH2, (R)-CHF, (S)-CHF 型)を持つ、C-グリコシドアナログの分岐合成が可能になり、実際に擬イソマルトースおよび擬α-ガラクトシルセラミドの合成に成功した。
 さらに合成したCH2-イソマルトースは天然型と比較して、極めて高いアミラーゼ誘導活性を示し、(R)-CHF-α-ガラクトシルセラミドは、天然型とは真逆のインバリアントナチュラルキラーT (iNKT)細胞のアンタゴニスト様活性を示すことを明らかにした。

 同成果は、米国化学会発行「Journal of American Chemical Society」のオンライン版(1月9日付)に掲載された。
 
ニュースリリース参照
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/55561/24_0112_02.pdf