2024年01月30日
琉球大「ユリ科の絶滅危惧種、別経路で2度来訪」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

 ユリ科植物のタイワンホトトギスは園芸的にも親しまれている多年生の丈夫な植物だが、日本では西表島と沖縄本島のごく限られた地域にのみに野生する絶滅危惧種としても知られている。
 
 京都大学、琉球大学、東北大学、台湾大学の共同研究チームが、日本と台湾の集団を対象に比較解析を行ったところ、タイワンホトトギスは、台湾から西表島、沖縄本島へと飛び石状に分布拡大したのではなく、台湾の2つの系統からそれぞれ個別に、西表島と沖縄本島へと渡来したことがわかった。26日発表した。
 
 本種は、西表島では森林内で滝飛沫がかかる場所のみに生育しているが、暗い環境に適応した光合成特性やゲノム内の有害変異の蓄積から、本質的に脆弱であることがわかった。また、沖縄本島では森林内の渓流沿いや日当たりの良い用水路沿いに頑強な集団が生育しており、人為的な持ち込みが疑われてきたが、自然分布であることも判明した。
 
 世界自然遺産にも指定されている「奄美大島、徳之島、沖縄県北部及び西表島」は、日本でもとりわけ生物多様性の高い地域となっているが、今回研究は、この地域の生物多様性の形成過程の理解や適切かつ効果的な保全戦略の策定に寄与するものとなった。
 同成果は1月10日に国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載された。

ニュースリリース参照
tohokuuniv-press20240126_04web_second.pdf