1999年11月16日
独バイエル、米ライオンデルのポリオール事業を24億5,000万ドルで買収
ウレタン事業を強化拡大・オランダのPO/SM設備も共同で建設
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:バイエル、ライオン

 独バイエルはドイツ現地時間の16日、ウレタン事業拡大のため米ライオンデル・ケミカルのポリオール事業について、24億5,000万ドル(約2,570億円)で買収する、と発表した。バイエルは、PO(プロピレンオキサイド)の生産について対等の権利を取得、また技術開発およびライオンデルがオランダで進めていたPO/SM(スチレンモノマー)新設プロジェクトについても共同で推進する見通し。ただしライオンデルの発表では、これらの詳細は今年12月のボードミーティングで協議し、来年第1四半期に正式決定する、としている。
 バイエルのマンフレッド・シュナイダーCEO(最高経営責任者)は、「今回の買収は、当社のコアビジネスであるポリウレタン事業を強化するとともに、グローバル市場における地位を向上することができる。また革新的で、特許により保護された技術および製品を手にすることができる」と語った。またその一方で、「(当社は)ライフサイエンスのパートナーの模索をあきらめたわけではなく、機会があれば(今回の買収と同様)行動を起こすつもりである」と述べている。
 バイエルによると、ポリウレタンの世界市場は年率4~5%の成長を続けており、国際競争の中でイソシアネートだけでなくポリオールの供給能力を強化することにより、バイエルは事業の見通しが一層明るくなると見ている。バイエルは増強を重ねた結果、イソシアネートで世界需要の約4分の1のシェアを占めるまでになっている。ポリウレタンのユーザーは、全てのウレタン原料を供給し、1社で必要なテクニカルサービスを行うサプライヤーを探しており、バイエルはまさにこうしたニーズに対応できる巨大ウレタン原料メーカーとなる。
 買収の対象となるのは、ポリオールについては米国のSouth Charleston、West Virginia、Channelview、Texasおよび欧州のRieme(ベルギー)、Fos-sur-Mer(フランス)、さらに台湾とインドネシアの合弁会社で、トータルの生産能力は約70万トン、従業員数は約1,000名を数える。これらの設備を手に入れることによりバイエルはコスト改革を進め、2002年までにポリウレタン事業部門の収益性を大幅に改善できると見込んでいる。一方、ライオンデルは米国のPO事業を売却することも明らかにする反面、今後もPOのサプライヤーであることに変わりはなく、PG(プロピレングリコール)、ブタンジオール、プロピレングリコールエーテルなどの誘導品事業の拡大に注力する、としている。
 また今回の合意には、ライオンデルが以前からオランダ・ロッテルダムで検討していたPO/SM設備新設について、共同で建設することも含まれている。ライオンデルは、当初2000年第3四半期の完成予定で、PO年産28万5,000トン/SM63万5,000トン規模の設備新設を計画していたが、その後延期、今春米国テキサス州サンアントニオで開催されたNPRA(米国石油化学・石油精製業者協会)第24回国際石化会議中に、2003年の完成を目指す方針を明らかにしていた。