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2024年12月13日 |
金沢大、細胞が作り出す留め金の仕組み解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:科学技術振興機構 |
金沢大学ナノ生命科学研究所の奥田 覚准教授らの研究グループは12日、上皮シートの折り目がL字金具のようなアクチン分子の集積構造によって不可逆的に作られる仕組みを解明したと発表した。 私たちの身体の各器官は、シート状の上皮組織(上皮シート)が、まるで折り紙のように複雑に折り畳まれてできている。重要なのは、上皮シートに「折り目」が一度形成されるとそれが元に戻らないという不可逆性を持っている点で、もし、この折り目が元に戻ってしまうと、正常な器官の構造が形成できなくなる。この折り目の不可逆性は、身体や器官が正しく形作られるために不可欠な性質といえる。だが、これまでこの「形が元に戻らない」という現象は当然のこととしてとらえられ、その仕組みについては長い間、不明のままだった。 研究グループは今回、この折り目の不可逆性を計測するための新しい実験装置を開発し、培養した上皮シストや脊椎動物の目の元となる眼杯のオルガノイド、マウス胚の眼組織に適用した。その結果、上皮シートの折り目が不可逆となる過程は、加えられた変形の「時間」と「変形量」によって、スイッチのように変化することを、初めて明らかにした。さらに、その仕組みは、加えられた変形の時間と変形量を細胞が感知して、L字金具のような「アクチンブラケット」構造を形成することで実現されることも発見した。 これらの結果は、器官の形が不可逆に作られる根本的な仕組みを示しており、今後、発生・再生現象の理解に加え、組織工学・再生医療分野への貢献が期待できる。 本研究成果は12月12日に英国科学誌「Nature Communications」に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.jst.go.jp/pr/announce/20241212/index.html |