住友化学工業

CHEMNET TOKYO

2024年12月18日
「ガラスは温度の上下を繰り返すと若返る?」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 島根大学材料エネルギー学部の尾原幸治教授らは17日、熊本大学、東北大学、九州シンクロトロン光研究センターなどの研究者と協力して、金属ガラスを対象として、液体窒素温度(およそ摂氏マイナス196度)と、室温の間を繰り返し上下させることによる若返り効果によって、構成する原子の並び方やその運動が大きく変化することを、大型放射光施設(SPring-8)を用いて明らかにしたと発表した。

 放射光X線を用いると、通常より高いエネルギーのX線を用いた高エネルギーX線回折を行うことができる。そのエネルギーを細かく変化させることもできる。それによってX線異常散乱法を用いて構成元素による散乱の強さをコントロールし、それぞれの元素のまわりの原子の配列を知ることができる。
 
 研究に用いた金属ガラスは、重い希土類元素のガドリニウム(Gd)と軽い遷移金属元素のコバルト(Co)からできているが、この実験より軽いCo元素が温度の上下を繰り返すことにより、Gd原子の直近の位置からやや離れた場所に若返りによって移動することがわかった。
 
 また、放射光X線を用いたX線非弾性散乱法によって、金属ガラスはミクロに見て速く振動する硬い部分と遅く振動する柔らかな部分があり、その不均質さが若返りにより大きく増大することを見出した。この研究は、放射光X線を有効に用いて、ガラスの原子配列の変化や運動の変化を詳しく観測できることを示している。
この結果は、オランダの科学雑誌「Acta Materialia」(12月13日)に掲載された。

(発表の詳細)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20241217_01web_glass.pdf





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