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2024年12月25日 |
東北大、芳香族含有カルボン酸を効率的に合成 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学大学院薬学研究科の重野真徳准教授らの研究グループは、アルキルシリルカルボナートが芳香族化合物の実用的なカルボキシル化反応剤となることを見出したと発表した。簡便に取り扱えるとともに長期間保存できるカルボキシル化反応剤を開発した。 二酸化炭素(CO2)はその偏在性や安価な価格、低毒性などの観点から魅力的な1炭素資源とされている。特に近年、芳香族化合物や芳香族複素環化合物に含まれる炭素-水素(C-H)結合を反応部位として、CO2を導入する反応系の開発が進められている。この反応では、芳香族カルボン酸が得られ、これらは生物活性物質として重要な分子構造とされている。だが、CO2は常温常圧下では気体状態であるため、精密に量り取ることが容易ではなく、これまでのCO2固定化反応では実験操作に慣れや経験が必要とされてきた。 重野准教授らが開発した反応剤は、芳香族化合物のC-H結合を活性化する塩基として、また、CO2源としての2つの役割を担っている。さらに、この反応剤を用いて、多岐の芳香族含有カルボン酸が合成できることも示した。 本反応剤は今後、医薬品候補化合物のライブラリー合成や炭素同位体の導入法に応用されることが期待される。 同成果は12月20日付で、アメリカ化学会の学術雑誌Organic Lettersに掲載された。 <用語の解説> ◆生物活性物質とは:人間を含む生物に何らかの影響を与える化学物質のこと。例えば、医薬品や農薬、ビタミンなどが挙げられる。 |