![]() |
2024年12月26日 |
北大、漁業に打撃「貧酸素水塊」発生予測に成功 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学水産学部(高津哲也教授)の研究グループは25日、ホタテガイやエビ類などの水産資源が豊富な北海道南部の噴火湾(海底水深約100m)で、夏季の底層に発生し、漁業に大打撃をもたらす「貧酸素水塊」の発生予測に成功したと発表した。 「貧酸素水塊」とは、水中の酸素濃度が著しく低い水塊(2ml/l以下)のこと。世界中の閉鎖性水域で発生し、一旦これが発生すると、呼吸で酸素を必要とするカレイなどの海洋生物が酸欠状態に陥り大量死する。そのため、漁業関係者も貧酸素水塊には高い関心を持っている。 この水塊は、夏季に海底近くの底層で発生する。噴火湾でも数年に一度発生しているが、その原因は、生物に対する酸素供給量が少ないことにある。特に夏季は、海面が日射で暖められることで水が軽くなり、表層を介した大気からの酸素供給が制限される。 鉱工業貧酸素水塊の発生予測を試みるべく、本研究では酸素濃度の回復過程に着目した。冬季では大気からの冷却により表層の水が重くなって沈み、海底にまで達する深い対流が生じることで、表層から底層に酸素が供給される。今回研究では、湾外から親潮系の冷たい水が流入する年は、大気からの冷却が抑制されるとともに、親潮系の軽い水が海面を覆うことで対流が制限され、底層の酸素濃度が十分に回復せず、続く夏季に貧酸素が発生しやすくなることを突き止めた。つまり、半年前の大気と海洋の状態から、夏季の貧酸素発生予測が可能となることを解明した。同研究成果は「Journal of Marine Systems」(12月16日付)誌に掲載された。 |