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2025年01月14日 |
北大・海洋研など「北極海氷下で蓄熱が進行」 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
(国研)海洋研究開発機構、北海道大学 、東京海洋大学の3者は14日、北海の海氷下で床暖房への蓄熱が進行していることを20年間の公開データで明らかにしたと発表した。 海洋地球研究船「みらい」による北極航海(1999-2020年)で取得した約20年間におよぶ観測データをまとめて解析することで、これまで報告例が殆どなかった太平洋側北極海のチュクチボーダーランド海域でも、海洋亜表層の貯熱量が顕著に増加していることを発見した。 ベーリング海峡から流入する暖かい太平洋起源水の水温が上昇していることと、大規模な海洋循環の変動に伴いチュクチボーダーランドに向かう海流が強化されていることの組み合わせによって、海氷にとって床暖房の役割を担う海洋亜表層での蓄熱が長期的に進行していることを明らかにした。 海洋亜表層に蓄積された熱が海面付近まで伝われば、海氷の熱的減少(融解の促進および結氷の抑制)をもたらすため、貯熱量の増加は海氷激減のトリガーになる。また、太平洋起源水の下流域における海水温の上昇は水産有用種の生息域拡大にもつながる。研究チームはこれらのことから、海氷激減の予兆を捉えるとともに、船舶による北極航路や水産資源管理の運用体制を整備するためにも、継続的に海洋熱輸送プロセスをモニタリングしていくことが重要になるとしている。 |