住友化学工業

CHEMNET TOKYO

2025年01月17日
広島大、水素の製造「室温・実験室」で可能に
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:広島大学

 グリーンで低エネルギーなCO2を排出しない水素製造技術に関心が高いが、広島大学自然科学研究支援開発センターの斎藤健一教授らの研究グループは17日、ボールミルを用いた金属ナノ粒子合成中に、容器が天井に吹き飛ぶ程の大量の水素生成を偶発的に見出したと発表した。

 そこで安全な実験条件を探し、合計26種類の手法を用いた実験・理論の両面からメカニズムを詳細に研究したところ、金属がメカノ触媒、反応容器の材料が助触媒となり、原料の水が尽きるまで連続的に水素を製造する現象を見出した(純度>99%、収率 1,600%)。特に、室温付近の温度( 30-38℃ )にも拘わらず、局所的には超臨界水が生成し、それが水素生成速度を300倍加速させた。
  水の熱化学サイクルによる水素生成には、高温( 600~2,000℃ )が必要で、その高温を得るために、数100メートル四方の敷地を要する施設が利用されている。

 研究グループは今回、その熱化学ササイクルによる水素生成が、50cm程の大きさのボールミル内で、室温付近の温度で進行することを見出した。その鍵は、ホットスポットの生成にあった。また、海水を原料にしても水素が高効率に生成した。小型で低電力 (0.26 kW)の高効率水素製造は、オンサイト、オンデマンドでの水素製造に相当する。
 これらの成果はイギリス王立化学会発行の学術誌に掲載された。

<用語の解説>
◆メカノケミカル法 :物質に粉砕などの機械的エネルギーを加えることで、その物質の物理化学的性質や化学的性質を変化させる手法を指す。
◆熱化学サイクル :水と金属は高温になると反応する。この時、金属は酸化されて金属酸化物に、水は還元されて水素になる。金属が金属酸化物に化学変化すると反応は止まり、水素生成は停止する。一方、金属酸化物を高温や化学反応で金属として再生し(還元反応)、その金属が再び水と反応し水素を生成する、その反応サイク
ルを指す。

ニュースリリース参照
https://www.hiroshima-u.ac.jp/system/files/251527/Room-temperature.pdf





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