1999年11月11日
住友化学、米アボット社の生物農薬事業を買収
海外拠点強化/醗酵法技術で有機農産物向け拡大
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友化学

 住友化学工業は11日、米国の大手医薬品会社アボット・ラボラトリーズ社との間で、アボット社の生物農薬関連事業部門を買収することで合意、同日契約調印した、と発表した。
 住友化学は、農薬関連事業の拡大、強化を重要な経営戦略の一つと位置付け、1988年には北米にベーラントUSAを設立、以来フランスやスペイン、台湾、中国など世界各地に開発・販売拠点を設け、拡充してきた。アボット社の事業買収は、この一環となるものだが、アボット社は醗酵法技術を持ち、製品は有機農産物の生育に適していることから、住友化学では自然環境に優しい生物農薬として市場拡大を図っていきたいとしている。
 買収するアボット社の生物農薬事業の1998年売上高は1億300万ドルで、従業員数164人。米イリノイ州をはじめとした国内各地のほか、欧州、中南米、アジア各国に事業拠点を有している。
 今回の買収により住友化学は、〓醗酵法で作られた有機農産物向け植物保護剤製品を今後大幅に拡充できる、〓特色ある有機農産物向け新製品の開発に加わることにより、住友化学の有機農薬関連事業の飛躍的な拡大が期待できる、〓今後注力していく防疫用分野で、醗酵法新剤が加わることにより、防疫薬事業の強化、拡大を図ることができる、などが可能になると見込んでいる。
 一方、アボット社は、生物農薬関連事業の利益率は高いものの、医薬業界の世界的な再編の中で、経営資源を本業の医薬事業分野に特化していく戦略を固め、住友化学への売却を決定したとしている。