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2025年02月25日

静大と明大「高温ストレス下の植物活性化機構」解明

【カテゴリー】：ファインケミカル 【関連企業・団体】：科学技術振興機構

静岡大学農学部の竹内純准教授と明治大学農学部の瀬戸義哉准教授らは25日、高温ストレス下での植物の発芽制御に関わるKAI2（KARRIKIN INSENSITIVE 2）というタンパク質が、どのような分子構造を持つ物質（リガンド）と結びつくことで生理応答が起こるのかを明らかにしたと発表した。 　地球温暖化により、高温ストレスが原因で植物の発芽が妨げられることは、農作物の収穫量に大きな影響を与える深刻な問題。最近の研究で、植物ホルモンであるストリゴラクトンの受容体（D14）の仲間、KAI2が高温環境での植物の休眠や発芽の調節に関与していることが報告されている。 　だが、KAI2と結合する植物内生リガンド（KL）はまだ同定されておらず、そのメカニズムもよく分かっていない。 　そこで研究グループは、KAI2のリガンドがどのような分子構造を持つ必要があるのか、またKAI2がどのように活性化されるのかを解明した。具体的には、KAI2と結合することが知られているdMGerという物質（KAI2アゴニスト）の構造を改変して、KAI2と結合するが、KAI2によって加水分解されないような構造としたdMGerアナログ（類似物質）を設計した。このアナログを使って、KAI2との結合活性や植物への効果を詳しく調べた。 　解析の結果、KAI2を活性化するためには、リガンドがKAI2と結合するだけでは不十分であり、リガンドのブテノライド環が加水分解され、その後KAI2の触媒残基有結合を形成することが重要であることが分かった。 　本成果は、10年以上発見されていなかったKLの構造的特徴に関する新しい知見を提供し、KLの探索研究を大きく前進させるものと期待できる。また、植物の高温発芽阻害の解決にKAI2経路を利用した新規農薬ターゲットを創り出せる可能性もある。 　同研究成果は国際学術誌「Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)」（2月20日付）オンライン版で公開された。 （詳細） https://www.jst.go.jp/pr/announce/20250225/pdf/20250225.pdf

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