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2025年02月28日 |
北大、高耐久性・疲労耐性の自己強化材料 開発 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学総合イノベーション創発機構の研究グループは27日、化学結合の切断を利用した迅速な自己強化材料を開発したと発表した。これまでは材料内の化学結合が切断されると、強度が低下するのがふつうだったが、新開発した自己強化材料は、この現象を逆手にとった新しいアプローチ。結合の切断で発生する「機械的ラジカル」を活用し、材料内で新しい高分子ネットワークをラジカル重合で形成させることで自己強化を実現する。筋肉トレーニングのように、材料が使用されながら強化される仕組みだ。 この自己強化は、硬く脆い第1ネットワークと、柔軟な第2ネットワークからなる「ダブルネットワーク(DN)ゲル」によって可能となった。従来のDNゲルは、機械的ラジカルは生成量が少なかったが、今回は第1ネットワークに「弱い共有結合」を犠牲結合として導入した。これにより負荷時に容易に切断され、大量の機械的ラジカルが生成される。このラジカルが新しい高分子ネットワークの形成を促進し、ネットワーク形成速度は従来の100倍に向上した。この結果、材料は短時間で強度を増し、亀裂進行を効果的に抑制できるようになった。今後、耐久性や疲労耐性を備えた構造材料の開発につながると期待できる。 なお、同研究成果は「Nature Materials」(25年2月26日付)に掲載された。 <用語の解説> ◆機械的ラジカル(mechanoradical): 材料に機械的な力が加わることで、分子内の化学結合が切断される際に生成される化学種。具体的には、共有結合が引き裂かれると電子が対にならない状態(不対電子)を持つ原子や分子が生じる。この不対電子を持つ化学種を「ラジカル」と呼ぶ。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/250227_pr.pdf |