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2025年03月06日 |
長崎大、難治性がんに治療に弱毒化サルモネラの力 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
長崎大学大学院(薬学系)の向井英史准教授らは5日、理化学研究所や北海道大学との共同研究によって、弱毒化サルモネラVNP20009が難治性がんの間質構造をこじ開ける力を持ち、リポソーム抗がん剤のがん深部への移行を劇的に改善することを見出したと発表した。 さらに、VNP20009とリポソーム抗がん剤の併用がモデル動物によって、がんを完全に退縮させることを実証した。論文はJournal of Controlled Releaseに掲載された。 がん間質は、臨床がんにおいて発達していることが多く、がんをターゲットとした様々なドラッグデリバリー製剤のがん深部への浸透を阻む障壁として知られている。この研究をきっかけに、リポソーム抗がん剤をはじめとする多くの抗がん剤が、間質豊富な難治性がんの治療に効果を発揮できるようになると期待できる。 <用語の解説> ◆ がん間質とは : がん細胞の周りに存在するさまざまな細胞や、それらの間に存在するコラーゲンなどの細胞外マトリックスなどからなる構造のこと。臨床のがんでは特に発達しており、コラーゲンなどはリポソーム抗がん剤のがん深部への移行の物理的な障壁となり、臨床でリポソーム抗がん剤が効きにくい原因の一つ。 ◆リポソーム : 脂質二重膜からなる小胞で、薬物などを内封し投与するための送達キャリアとしても利用されている。 ◆ドラッグデリバリー : 薬物の効果や副作用を改善するために、それらを必要な場所へ必要な時間に必要な量届けること。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/250305_pr2.pdf |