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2025年03月07日 |
北里大など、サンゴ保全のカギは陸域対策に |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:NEDO |
北里大学 海洋生命科学部の安元剛講師をはじめ、琉球大学、産業技術総合研究所などとの共同研究チームは7日、石西礁湖(沖縄県)のサンゴ礁保全を目的として人間活動の影響とサンゴ密度、白化、藻類被度との関係を、石灰質の底質に吸着しているリン(底質リン:海水交換性リン酸塩EPS)を測定する新たな手法で調査したと発表した。総合地球環境学研究所LINKAGEプロジェクトの一環でNEDOなどの支援を得た。また調査は環境省の石西礁湖サンゴ群集モニタリング調査のデータを活用した。 調査の結果、底質中のリンが多いほど、サンゴの密度が下がり、白化が進む傾向がみられた。一方、底質リンはホンダワラ類などの海藻の増加とは正の相関があった。 これらの発見は、サンゴ礁の減少に人間活動が影響していることを数値的に評価し、今後の陸域負荷対策に向けて重要な知見をもたらすものとなる。 同研究成果は、Springer Nature社発行の「Marine Biotechnology」誌(3月5日付)に掲載された。 <用語の解説> ◆石西礁湖 石西礁湖(せきせいしょうこ)は、日本最大のサンゴ礁海域で、沖縄県の石垣島と西表島の間に広がる。温暖で透明度の高い海域に多様なサンゴ群集が分布し、多くの海洋生物の生息地となっている。だが近年は、海水温の上昇や陸域からの栄養塩・有機物の流入により白化現象やサンゴの衰退が進行している。 ◆底質リン(海水交換性リン酸塩EPS) 底質リンは、海底の石灰質堆積物に吸着し、海水と可逆的に交換されるリン酸塩(EPS)を指す。陸域から流入した排水や化学肥料などのリン酸塩が海底に蓄積し、環境条件に応じて溶出や吸着を繰り返す特性を持つ。この濃度が高まると、サンゴの成長や生存に悪影響を及ぼし、白化や密度の低下を引き起こす可能性がある。特に、成長の早いミドリイシサンゴやハナヤサイサンゴなどの属は底質リンの影響を受けやすい。 ニュースリリース参照 https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2025/pr20250307/pr20250307.html |