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2025年03月11日 |
北大、肥満のカギは腸内古細菌とグリコール酸濃度 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学遺伝子病制御研究所の山村凌大助教らの研究グループは、北海道寿都町の一般住民を対象とする疫学研究を実施し、肥満度と関連する糞便成分や腸内細菌属を明らかにしたと発表した。 対象者をボディマス指数(BMI)に基づいて「低体重」「正常体重」「肥満」の3群に分類し、30種類の糞便成分と腸内細菌叢そうの組成を比較した。 その結果、肥満群では糞便中のグリココール酸(GCA)濃度が低体重・正常体重群と比べて有意に高値を示すことが明らかになった。また、糞便中GCA濃度を基に対象者を4群に分類したところ、GCA濃度の最も高い群では、GCA濃度の最も低い群と比較して肥満の有病率比が有意に高いことを発見した。加えて、腸内細菌叢そうの解析では、GCA濃度の最も高い群で古細菌の一つであるMethanobrevibacter属が検出されないことを明らかにした。 Methanobrevibacter属はGCAの脱抱合を担う酵素を持つことが示されており、本研究では実際にGCA濃度の最も高い群においてこの酵素をコードする細菌遺伝子の発現が低下していることが示された。本研究は世界で初めて、肥満者における腸内古細菌の枯渇と糞便中GCA濃度の上昇を示し、腸内環境が肥満に及ぼす影響を明らかにした。 同研究成果は3月8日、「The Journal of Nutritional Biochemistry」誌にオンライン掲載された。 <用語の解説> ◆腸内細菌叢 : 腸内に生息する多種多様な細菌の集まり。数百~数千種類もの菌種で構成され、食物の消化や代謝、免疫調整、炎症反応などに重要な役割を果たす。そのバランスは人によって異なり、これが崩れると、肥満や糖尿病、炎症性腸疾患、うつ病など様々な疾患の発症と関連することが知られている。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/250310_pr2.pdf |