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2025年03月24日 |
北大、クラスレートハイドレート分解観察 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学低温科学研究所の木村勇気教授をはじめ、ナソニック、大阪大学などとの研究グループは、透過電子顕微鏡内で液体試料を観察できる手法を用いて、セミクラスレートハイドレートの微結晶が分解する過程を観察する実験に成功したと発表した。これまで、セミクラスレートハイドレートが複数集まったクラスターを成長ユニットとした結晶化の存在は示唆されていたが、具体的な結晶化過程までは分かっていなかった。 セミクラスレートハイドレートとは,水分子構造の一部に少量のイオンを組み込んだ構造の結晶体のことで,大気圧においても室温付近まで安定に存在することができる。 結晶化や分解などの相変化によって生じる潜熱を取り出してエネルギーとして利用できる材料(潜熱蓄熱材)として期待されている。その結晶化と分解過程の理解は、より高効率な潜熱蓄熱材の設計につながる。 ハイドレートの相変化プロセスの理解は、科学的に重要なだけでなく、高効率の潜熱蓄熱材料の開発やメタンハイドレートなどの資源利用にも大きな波及効果をもたらすと期待されている。さらに、非古典的な「クラスター単位」の溶解プロセスの理解は、医薬品、化学製品、食品、先端材料(ナノ材料や生体材料など)、電子デバイスなど、様々な化学工学分野における相変化を利用する技術の発展に直結する。 なお、同研究成果は3月9日公開の科学誌「ACS Applied Nano Materials」にオンライン掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/2025/03/post-1832.html |