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2025年03月25日 |
東北大、次世代太陽電池用SnS薄膜の最適組成解明 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学多元物質科学研究所の鈴木一誓講師らの研究グループは25日、硫化スズ(SnS)薄膜太陽電池の性能を左右するSnS薄膜の電気的性質と膜質に、スズと硫黄の比率(組成)が及ぼす影響を解明したと発表した。 硫化スズは、地球上に豊富に存在し、毒性もないスズと硫黄で構成される半導体として、次世代の薄膜太陽電池や熱電変換素子への応用が期待されている。 だが、SnSを薄膜化する際には、スズと硫黄の比率(組成)が化学式の1:1からわずかにずれることがある。一般的に、組成のずれは小さい方が望ましいとされるが、組成ずれが薄膜にどのような影響を及ぼすかは十分に解明されていなかった。 鈴木一誓講師らは、SnS薄膜の組成を精密に制御する手法を開発し、組成ずれが電気的特性や膜質に大きな影響を与えることを実験的に明らかにした。また、化学量論組成1:1となる薄膜を実現することが、太陽電池に適した優れた、電気的特性と緻密な膜質を実現する鍵であることを発見した。 同成果は次世代のエネルギー変換デバイスにおけるSnSの実用化に向けた重要な知見となる。 同研究成果は、米国物理学協会発行の学術誌「APL Materials 」(25年3月21日付)に掲載された。 <用語の解説> ◆化学量論組成 : 多くの物質では構成元素の原子数の比が単純な整数比となる。硫化スズの場合は、Sn:S = 1:1である。このような整数比は化学量論組成(ストイキオメトリ)と呼ばれる。実際に材料を合成する際には、この化学量論組成からの微妙なずれが発生する。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20250325_02web_sns.pdf |