2025年04月03日

北大、非天然アミノ酸を効率合成/新手法開発

【カテゴリー】：ファインケミカル 【関連企業・団体】：北海道大学

北海道大学大学院の佐藤美洋教授らの研究グループは3日、天然に豊富に存在する安価なL-アミノ酸から創薬に重要な光学活性非天然アミノ酸を効率的に合成する新手法を開発したと発表した。 　安価なアミノ酸からより付加価値の高い四置換型非天然アミノ酸を合成する手法は、これまでも数多く開発されてきた。一般に、天然のアミノ酸はL体の鏡像異性体として存在するが、四置換型非天然アミノ酸に変換するために必要な置換基をα炭素に導入する際に、L-アミノ酸が本来持っていたキラリティー（不斉情報）は失われ、生成物はL体とD体の混合物として得られる。 　 　このため四置換型非天然アミノ酸誘導体の一方の鏡像異性体のみを合成するには、天然アミノ酸由来のキラリティーを有効に利用することはできず、高価な不斉触媒などを添加してそのキラリティーを利用することが不可欠と考えられていた。 　研究グループは今回、L-アミノ酸誘導体と銅触媒が相互作用した際に生じる銅錯体の幾何構造に原料（L-アミノ酸誘導体）の不斉情報を一時的に保存し、最終的に生成物に転写させることでこれらの問題を解決し、高価な不斉触媒に依存しないプロセスを実現した。これにより、安価で豊富に存在するL-アミノ酸を唯一の不斉源として、付加価値の高い左手型の非天然アミノ酸を合成することが可能になった。 　同研究成果は、米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」（4月1日付）にオンライン掲載された。 （詳細） https://www.hokudai.ac.jp/news/2025/04/l-.html