2025年04月10日
東北大、菌類による枯死木からドイツトウヒ将来予測
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 ドイツトウヒはユーラシア大陸西部の森林に広く優占する針葉樹であり、木材としての需要も高いことから生態的・産業的に重要な樹種だが、東北大学農学研究科の深澤 遊准教授らの国際研究グループは9日、ノルウェーからギリシャに至る6カ国の森林を調査し、ドイツトウヒの種子が芽生えて成長するのに適した状態に腐朽した倒木の分布が中欧に偏っていることを発見したと発表した。さらに、降水量の季節変化がドイツトウヒ倒木の腐朽タイプの地理的な分布に影響していることがわかった。

 このことは、ドイツトウヒに適した気候帯が温暖化によって全体的に北上したとしても、そこには芽生えに適した倒木がないというミスマッチが起こる可能性を示唆している。南欧の分布域も温暖化により縮小すると予想されており、将来的なドイツトウヒの分布域の縮小が予想される。
同研究成果は4月7日に生物地理学の国際誌「Journal of Biogeography」で公開された。

<用語の解説>
◆腐朽タイプ ;
 腐朽型ともいう。木材を分解する菌類の種によって木材を構成する成分の分解比率が違うことを反映した、腐朽木の物理化学的性質を類型化したもの。褐色の物質であるリグニンが分解されることで白色腐朽では腐朽材が白色化するのに対し、褐色腐朽ではリグニンが分解されず蓄積するため腐朽材は褐色化する。

( 詳細 )
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20250409_02_logs.pdf