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| 2025年04月11日 |
| 北大、肥満制御の新たな分子標的を発見 |
| 【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学医学部の近藤亨教授らの研究グループは、Epithelial V-like antigen 1(Eva1)と呼ばれる細胞表面分子が肥満に伴う内臓脂肪組織の機能不全に関与することを発見したと10日発表した。 肥満人口の増加は世界的に問題となっているが、肥満から生じる代謝異常症の成因・発症に関わるメカニズムについては不明な点が多いのが現状。肥満の進行に伴う脂肪組織の肥大化、特に内臓脂肪が過剰に蓄積されると耐え切れなくなった脂肪細胞が死に、これを貪食するマクロファージなどの免疫細胞が脂肪組織に集まり、炎症を引き起こす。炎症の拡大は全身に悪影響を与え、メタボリックシンドロームをはじめ様々な代謝疾患の原因になると考えられている。 今回、研究グループはEva1欠損マウスに高脂肪食を与えると、野生型マウスに比べて体重増加が抑えられ、内臓脂肪組織の炎症を引き起こさず、肥満や糖尿病を発症しないことを見出した。 さらに、野生型マウス由来のマクロファージをEva1欠損マウスに移植すると、内臓脂肪組織の炎症と肥満症が誘導されることから、マクロファージを介したEva1の働きが肥満発症に関与することを明らかにした。 今回の研究成果から、Eva1の働きを抑制することが、肥満やメタボリックシンドロームの新たな治療戦略の開発につながると期待される。 同研究成果は3月19日公開の「Metabolism-Clinical and Experimental」誌にオンライン掲載された。 <用語の解説> ◆ Eva1(Epithelial V-like antigen 1) : 細胞表面に発現する一回膜貫通型の膜タンパク質。ヒトとマウスの褐色脂肪細胞において特異的に高く発現する遺伝子として報告されているが、その生理的な機能は分かっていない。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/250410_pr.pdf |