住友化学工業

CHEMNET TOKYO

2025年04月24日
都立大・京大「花は血縁環境で育つと進化する」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

 東京都立大学と京都大学の共同研究グループは23日、進化シミュレーションを用いて、数万年にわたる植物の花の進化を再現し、植物が血縁個体(親や兄弟など遺伝的に近い個体)と生育する際に、花を大きくする行動が進化する理由(究極要因)を特定し、また、その進化条件を明らかにしたと発表した。

 これまでの研究で、植物は血縁個体と一緒に育つと、非血縁個体と育つ場合に比べて花弁が大きくなることが明らかにされてきた。この現象については、隣接個体が血縁者であるときに花弁サイズを大きくし、自らコストを支払う一方で、血縁者の受粉率を高める利他的行動(協力行動)の可能性が指摘されてきた。
 
 だが今回は、これまでの考えとは異なる視点を提示した。研究者らは、利他的行動に加えて、非血縁個体と育った場合には送粉者誘引に協力せず、花をつくるコストを削減する「フリーライダー戦略」が進化することを発見した。
 
 したがって、栽培実験の結果として観察された「血縁個体と育つと花弁が大きくなる傾向」は、次の3つの可能性を含むと考えられる。(1)血縁者に対して花弁サイズを大きくする利他的行動、(2)非血縁者に対して花弁サイズを小さくするフリーライダー戦略、(3)利他的行動とフリーライダー戦略の両方。このため、「植物を血縁個体と育てた場合に、非血縁個体と育てた場合と比べて花弁サイズが大きくなった」という実験結果のみから、利他的行動の存在を結論づけることは慎重に検討する必要がある。

 さらに、本研究では、利他的行動やフリーライダー戦略の進化条件が、植物の血縁認識能や送粉者の行動様式に依存することを数学的に特定した。本研究は、植物の協力行動の進化が血縁認識と送粉者の行動に影響を受けることを初めて明らかにしたものとなる。
 
ニュースリリース参照
https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2025-04/web_2504_Yamawo-efac7ad4e7eab2be8bd42a572ab6a1c5.pdf





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