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2025年04月28日 |
金沢大、腫瘍内の血管を破壊する がん治療法開発 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:金沢大学 |
金沢大学の中村孝司教授、北海道大学の原島秀吉教授らの共同研究グループは28日、ナノ粒子を用いて腫瘍内の血管を破壊する新しいがん治療法の開発に成功したと発表した。 がん治療法のなかでも、薬物療法は最近急速な発展を遂げ、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など、新しいタイプの医薬品が使用されるようになった。だが、多くの場合薬剤耐性が問題となり、がんの克服に至っていないのが現状。そうした中、腫瘍組織の血管、つまり腫瘍血管を破壊することで、がん細胞への栄養供給を断つ新しいタイプの治療法の開発が進んでいる。 現在開発が進んでいるものは低分子化合物を用いているため、腫瘍血管への選択性が乏しく、薬効や副作用の面で課題があった。そのため、新しい薬物モダリティや作用機序の腫瘍血管破壊剤の開発が望まれていた。 研究グループは今回、腫瘍血管を標的とする脂質ナノ粒子と自然免疫を活性化する脂質ナノ粒子を併用することで、腫瘍血管を選択的に破壊できることを見出した。 この併用療法による腫瘍血管破壊は、腫瘍組織におけるがん細胞の急速な細胞死(アポトーシス)を引き起こし、強力ながん治療効果を示した。その治療効果は、既存の血管破壊剤や血管新生阻害剤を大きく凌駕していた。また、免疫チェックポイント阻害剤に耐性を示す腫瘍モデルや、ヒト膵がん細胞を含む複数のヒト腫瘍モデルに対しても腫瘍血管の破壊を伴う顕著な治療効果を示した。 本研究成果は、3月27日、国際学術誌「Biomaterials」のオンライン版に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/250428_pr.pdf |