| 2025年05月12日 |
| 東大など、世界最小直径1.9ナノ物質 可視化成功 |
| 【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東京大学、大阪大学 |
東京大学、大阪大学、東京都立大学、北海道大学の研究グループは、このほど世界最小のスキルミオン(直径約1.9ナノメートル)を生み出す物質の電子構造を、高精度な光電子分光により初めて可視化することに成功したと発表した。 スピン同士が電子をキャッチボールしながら結びつくことで、スキルミオンの源となるらせん状のスピン構造が形成されるメカニズムを解明した。 磁場や温度で自在に変形・再構築される、しなやかな磁気ドメインを発見。書き換え可能なこの磁気構造は、これまでにない柔軟性と応答性を備え、次世代のメモリデバイスや情報処理技術に新たな道を拓く可能性を秘める。 今回本研究グループは、物質の中に広がる電子の地図となる運動量とエネルギーの関係を可視化することで、その謎に迫った。 すると、ある特定の運動量を持つ伝導電子たちが、遠く離れたスピン同士をまるでキャッチボールするように結びつけていることが分かった。この仕組みは「RKKY相互作用」と呼ばれ、スピンがねじれながら連なっていく、柔らかくしなやかな磁気構造(らせんスピン)を生み出していた。そしてこのスピン構造が、外部からの磁場や温度変化に対して驚くほど柔軟に応答し、磁気ドメインのパターンが自在に変化する操作可能な磁性を実現していることも明らかになった。 今回の研究成果は、スピントロニクス素子や次世代情報処理デバイスの材料開発において、電子構造の設計という新しい発想に基づく強力な基盤を提供する。 “電子の地図”から未来のスキルミオンを描く、そのための明確な指針がいま示されたことになる。 本成果は米国科学振興協会が発行する「Science」の5月8日14時(米国東部夏時間)オンライン版に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/250509_pr2.pdf |