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CHEMNET TOKYO

2025年05月19日
阪大、東北大「隠れた色素」の光応答機構解読
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:大阪大学

 大阪大学、東北大学などの研究グループは、緑藻類をはじめとした植物やハエの内に存在する青色光受容タンパク質(クリプトクロム)光応答機構を解明したと発表した。光受容後10ナノ秒から233ミリ秒にわたる中間体の立体構造を解明、「隠れた色素」の働きを明らかにした。

 青色光受容型クリプトクロムは、植物の生育やシグナル伝達・概日リズムの形成などに関与しており、発色団であるフラビンアデニンジヌクレオチドの光還元反応によって下流因子へシグナル伝達すると考えられているが、その詳細な分子機構は解明されていなかった。

 今回、研究グループは、X線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLAを用いて、クリプトクロムの微結晶を対象とした時分割シリアルフェムト秒X線結晶構造解析(TR-SFX)を実施した。その結果、光受容後のクリプトクロム中間体の三次元立体化学構造を明らかにし、光還元反応がタンパク質中に引き起こす構造変化がシグナル伝達の鍵であることを解明した。これにより、人工光遺伝学ツールの開発応用が期待される。
本研究成果は、米国科学誌「 Science Advances 」(5月17日付)に公開された。

<用語の解説>
◆ SACLA(さくら)とは :
 理化学研究所と高輝度光科学研究センターが共同で建設した日本初のXFEL施設。高い空間コヒーレンス、短いパルス幅、高いピーク輝度を備えたX線領域のレーザーを発生させる施設。2011年春に完成し、翌12年3月から共用運転を開始した。海外他国の施設と比べて大きさが数分の1とコンパクトであるにもかかわらず、0.1 nm以下という世界最短クラスの波長のレーザー生成能力を有している。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20250519_01web_cryptochrome.pd





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