2025年05月19日
理研とダイセル、酢酸の肥満改善効果を解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:ダイセル

 理化学研究所(理研)生命医科学研究センター粘膜システム研究チームの大野博司チームディレクターおよびダイセルの島本周フェローらの共同研究グループは、消化管内で酢酸を特異的に増加させるセルロース試料である水溶性酢酸セルロース(WSCA)が腸内細菌に作用することで消化管からの糖質吸収を抑え、肥満を改善することを明らかにしたと発表した。同研究成果は、プレバイオティクスに基づく食品を介した肥満予防に貢献すると期待される。

 今回、共同研究グループは、WSCAをマウスに投与した結果、肥満や高血糖、脂肪肝が改善すること、WSCA の効果により腸内環境の変化を介して吸収可能な単純糖質を減少させること、さらにWSCAが肝臓での糖質貯蓄を減少させることを突き止めた。
 同研究成果は、科学雑誌「Cell Metabolism」オンライン版(5月17日)に掲載された。

<用語の解説>
◆プレバイオティクス : 消化管内で特定の腸内細菌に働きかけることでヒトに有益な効果をもたらす食品成分。食物繊維やオリゴ糖などを含む。
◆単純糖質 : 宿主が吸収可能な単糖や二糖を指す。主にブドウ糖、ショ糖、麦芽糖などを含む。単純糖質は、より複雑な複合糖質がヒト由来の酵素、もしくは腸内細菌由来の酵素により分解されて生成される。複合糖質はヒト体内に吸収されない一方、単純糖質は吸収可能なため、ヒトの代謝生理に影響を与える。

ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1747616033.pdf