2025年05月20日
東北大、潰瘍性大腸炎の発症は数年前から予測可能
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 潰瘍性大腸炎は、主に若年者に発症する腹痛や血便などを症状とする指定難病だが、発症を予測する方法は確立されていなかった。東北大学医学部の角田洋一講師らの研究グループは19日、「潰瘍性大腸炎の発症は、血液検査で数年前から予測可能だ」とする研究成果を発表した。

 研究グループは、東北メディカル・メガバンク計画で収集した8万人超のコホートデータの中から、将来的に潰瘍性大腸炎を発症する集団を含めた対象者の血液、生活情報を解析した。その結果、血液中の抗EPCR抗体と抗インテグリンαvβ6抗体により、発症の約5年前から将来の潰瘍性大腸炎を高い精度で予測できることを、日本人を対象とした研究で初めて明らかにした。また、生活習慣の解析では「不眠」が発症リスク因子となることを示した。今後、潰瘍性大腸炎の発症リスク因子の早期発見や発症予防につながることが期待される。
同研究成果は5月15日学術誌「Journal of Gastroenterology」(電子版 )に掲載された。

<用語の解説>
◆潰瘍性大腸炎(UC) :大腸粘膜にびらん・潰瘍を生じる原因不明の難治性炎症性腸疾患をいう。
◆ 抗EPCR抗体 :血液の凝固や血管の炎症に重要な役割を果たしている活性化プロテインCの受容体(EPCR)に対する自己抗体。EPCRは血管以外でも大腸炎の炎症を抑える作用を持っているという報告がある。
◆抗インテグリンαvβ6抗体 :大腸上皮に発現するインテグリンαvβ6に対する自己抗体です。インテグリンαvβ6は粘膜治癒や上皮バリア機能に関わることが示されている。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20250519_02web_colitis.pdf