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2025年05月23日 |
東北大、温度が変化しても安定した計測/高分子薄膜 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
近年、人々の健康状態をより正確に把握する次世代バイオセンサとして、生体親和性に優れ、水中でも安定して動作する有機電気化学トランジスタ(OECT)が注目されている。 東北大学大学院工学研究科の山本俊介准教授らは22日、静岡大学、米国ワシントン大学と共同で、OECTの高機能化に取り組み、温度が変化しても安定して動作する素子の作製に成功したと発表した。 異なる性質を持つ2種類の高分子材料と架橋剤を適切に組み合わせることで、しなやかさ・導電性・計測能力を同時に満たすことができた。 これは、従来用いられてきた導電性高分子に温度応答性高分子を混合し、さらに適切な架橋剤を用いることで、活性層の安定性を高めたことによる成果としている。 今後、温度以外の物理量や化学物質濃度の検出にも対応可能な高性能・高機能OECT素子の開発に向けた重要な設計指針となり、装着型・埋め込み型バイオセンサへの応用展開につながることが期待される。 本成果は25年5月10日(ドイツ時間)に科学誌「Small」オンライン公開された。 <用語の解説> ◆有機電気化学トランジスタ(OECT): 電子とイオンの両方を輸送できる「混合伝導体」を活性層(チャネル)に用い、この層へイオンの注入・抽出によって電気伝導率を変化させる電子素子です。神経模倣素子としての応用に加え、生体計測用センサとしても盛んに研究が進められている。 ◆導電性高分子 : 電気を流す性質を持つ高分子材料。「プラスチック」として用いられる一般的な高分子(PET、ポリスチレン、ポリエチレンなど)は電気を流さない絶縁体だが、導電性高分子は半導体や導体として機能する。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/05/press20250522-01-polymer.html |