| 2025年06月05日 |
| 北陸先端科技大、触媒探索を効率化、AI技術開発 |
| 【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北陸先端科学技術大学院大学(石川県能美市)の谷池俊明 教授は北海道大学などと共同で、既存知識の活用・未知領域の探索・予期せぬ発見をバランスよく取り入れた、革新的なデータ駆動型触媒探索アルゴリズムを開発したと発表した。 現在のマテリアルズインフォマティクス(MI)による材料開発では、活用と探索の両立を図る適応的サンプリング手法、特にベイズ最適化は、近年大きな注目を集めている。これらの手法は、従来よりも少ない実験数で目的物性を持つ材料を発見できることが示されており、その潮流は、触媒開発分野にも急速に波及している。 しかし、これまでの手法は、数種類の元素から成る組成最適化に限定されている。こうした小規模な最適化は熟練研究者であれば対処可能なため、MIに本当に期待されているのは、性能が保証された既知系の改良ではなく、広大な探索空間から現状の限界を打ち破るような、新たな傾向やルールを示す触媒候補を発掘することだ。 本研究では、?規模な探索空間にも適用可能な新たなAI技術を開発した。本技術は、触媒性能予測における確信度と不確実性を定量化する機能に加え、モデルの予測から大きく乖離した高性能触媒候補を特定する機能を備えている。メタン酸化カップリングに関する触媒探索の実証において、260種類の触媒をハイスループット実験で評価し、水準以上の性能を示す未報告の高性能触媒を90件発見した。 同研究成果は2025年5月8日、米国科学誌「ACS Catalysis」オンライン版に掲載された。 (用語の解説) ◆ベイズ最適化とは : ベイズ最適化は、目的関数(触媒性能)を直接評価するコストが高い場合に用いられる統計的な最適化手法。(1)既存の実験データから性能の分布を近似する確率モデル(サロゲートモデル)と、(2)そのモデルが示す期待値や不確実性を基に「次に測定すべき点」を数式的に選ぶ獲得関数から構成される。実験を繰り返すたびにモデルを更新し、少ない試行回数で高性能材料に到達できる特徴をもつ。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/250526_pr4.pdf |